ちがうわたしたち

友人を待っている。

彼女が指定した待ち合わせ時間を過ぎてからもうすぐ15分になる。

腹は立たない。わたしは待つのが好きだ。


待つのが好きというより、止まっている時間が好きだ。物事を動かさなくて良い時間。私自身が止まる時間。待ち時間は否応なく止まることができるので、ちょうど良い言い訳とセットで、好きだ。


ふと思い出す。

今日ランチを食べた時、同僚の女の子たちが「彼に20分遅刻されるとすごく腹がたつ」という話をしていた。

みずみずしい怒りをぼんやりと聞き流しながら、私は怒らないだろうな、と思った。


私はあまり人に怒ったりしない。

でも恋人は私に「怒るのが趣味なの?」と聞いたことがある。

全くそんなことはない。私は、彼にだけ怒るのだと思う。


また、彼はとても落ち着いた人だ。

けれど、私の前ではかなり不機嫌になったり、反対にごきげんになったりする。

それは、私にだけらしい。


心の許し方が歪なわたしたちは、ちがう人間なのだなと思う。

これがつづくかは、わからない。