クリスマスが好き


わたしはクリスマスが好きです。


誕生日より好きです。


わたしの誕生日はわたしだけのものだけど、クリスマスは世界中の人(一部除く)のものなので、好きです。

世界中の人(一部除く)がクリスマスを幸せな日にしようとはたらいているのが、好きです。


小さい頃は母が毎晩絵本の読み聞かせをしてくれていました。クリスマスを題材にしたものがたくさんあって、12月に入る頃はそういったものばかり読んでもらいました。何冊もあったので、ローテーションを組めば絵本に飽きることはありませんでした。


小学校にあがると、今度はわたしがクリスマスの絵本を読んであげる立場になりました。ただ、読んで楽しませてあげたいというよりも、自分がクリスマスを楽しみに過ごしたくて、読んでいました。


また、その頃からクリスマスが近づくと、おもちゃ屋さんなどのチラシを切り抜いてクリスマスカードを作っていました。贈る相手はいませんでしたが、作ることがとても重要なことでした。


我が家には、大きなクリスマスツリーがありました。飾りつけはこどもたちの仕事でした。毎年いろんな人からオーナメントをプレゼントされたり、家族でも買い足してしまうので、統一感はありませんでした。しかし、わたしは毎年ツリーの飾りつけに大変満足していました。どんなにごちゃごちゃでも、これ以上ないくらい素晴らしいツリーだと思っていました。


贈り物は大抵、父と母から一つ、叔父たちから二つ、合わせて三つでした。わたしはクリスマスの柄がついた包装紙すら素敵なものに思えて、毎年綺麗に剥がして折りたたんでいました。父と母は嬉しそうに「綺麗に剥がすね」と笑っていました。


そして、最後に一番の楽しみであるプレゼントがあります。サンタクロースからのものです。文字通りこれはご馳走だ、と胸を張って言えるようなご馳走を食べて、ケーキを食べて、母にクリスマスソングのCDをセットしてもらいます。

早く寝なきゃ、と思うのにワクワクして眠れません。小さく物音がすると、「サンタさんの鈴の音が聞こえた!」といって起きてしまいます。いつまでも眠れなくて、リビングに行くと母が特別に甘いホットミルクを作ってくれます。そして、それを飲むと途端に眠くなり、寝てしまいます。


そして目を覚ますと、会ったことも見たこともない赤い服を着たデブでヒゲのおじいさんからの、プレゼントが置いてあります。そのプレゼントの包装紙は、特に気をつけて綺麗に剥がして折りたたみます。


これがわたしのクリスマスでした。

本当に父と母に天晴れ!と言いたくなるような、しあわせなクリスマスでした。

きっと父と母がかなりの努力をして作ってくれた夢の日だったと思います。見事、わたしはクリスマスが大好きな24歳の女になりました。


もう、24歳なので、サンタクロースが両親だったことは理解しています。

でも、わたしはずっとサンタさんはどこかにいると思っています。

あの時聞いた鈴の音がもしかしたら本物だったのかも、という思いを捨てきれません。

大きく感じたクリスマスツリーが自分より小さい高さになってしまった今でも、我が家のツリーは世界一素晴らしいと感じます。

大人になったので、自分でお金を出して気に入ったクリスマスカードを贈ります。

きっと今年も、丁寧に包装紙を折りたたむでしょう。

そしてこれらのことは全部、こども時代の幸せな思い出から繋がっていて、いつか誰かに幸せなクリスマスを、と願う原動力になるのだと思います。


クリスマスには、こうした脈々と受け継がれる「誰かを幸せにしたい」という想いが、あるような気がします。


そしてそれはきっとサンタクロースという名前を借りた想いなのです。


みんなそれぞれが、いつもより少しいい日を過ごせればいいなと思います。


少し早いですが、メリークリスマス